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『ラボ20#23』

キュレーター:岩渕貞太

参加アーティスト・作品:

asamicro「Family Unbalance」

舞台監督:熊木 進 照明:久津美太地(Baobab) 音響:牛川紀政

宣伝美術:内田 涼 ロゴデザイン:嵯峨ふみか 記録写真撮影:前澤秀登

特別協力:急な坂スタジオ 助成:マグカル展開促進補助金 企画制作・主催:STスポット

Family Unbalance / asamicro

asamicroさんは「家族」や「生活」というもののままならなさを自分の意思でどう生き抜いていくのか、日々向き合ってきて、それが踊ることや作品をつくることと密接に関わっているが、どう形にできるのかを課題にされていました。オーディションではある意味その悩みがそのままあらわれていて、素直に踊りを見られました。本番までに作品の中身について二度の大きな変更がありました。創作の不安からのネガティブな変更ではなく必要だと思ったタイミングでなされたポジティブな変更だったと思います。思い切りの良い創作でした。「家族」という個人的なものを薄く一般化することなく、かつ開かれた作品として形にするのは簡単なことではありません。振付ボキャブラリー、マテリアルや音、音楽の選定やかかわり方の工夫などがasamicroさんの人生と記憶、これからの意思を説明的にではなく有機的にイメージを生んでいて感動しました。日航機墜落事故にまつわる音声と自分の出生、人生とがイメージの中で絡まり合い、不思議な浮遊感と不穏さ、暗さと明るさ、切実さがある作品でした。ラストシーンのあんぱんもこの作品のためだけに考えた物ではなく生きていく中で自分のそばにある大事な物が作品のマテリアルとしてここに結実した感触がありました。安易に答えを出さずにこの先への決意と意志を感じるラストシーンでした。

「ラボ20#23」総評 岩渕貞太

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