朝ごはんとわたしについて
2018年に「朝ごはん」というダンス作品を舞台で発表した。
フライヤーデザインはここにも掲載されている、光が美しく色彩豊かな朝食の写真1枚を大きく配置し、言葉を少なめに。そして千秋楽を迎え、お客様から頂いたアンケートの中にこのような文章があった。
「フライヤーデザインと公演内容が全く違う。暗くて怖い」
というようなこと。
わたしは傷ついたというよりも、驚きながらも「そうか、、そうだよな」と納得した。
この「朝ごはん」という作品は、大変ご活躍されている美術家の千田泰広さんに照明をお願いし、楽曲制作、音響は種子田郷さんという本当に著名なお二人にお力を頂いた。内容はとにかくノイズと暗闇と、重低音の中で進行していく、ほとんど間の無いHIPHOPダンス強めの踊りだった。最後はブチっと切れる音とともに酸欠ギリギリで倒れて終わった。
…わたしの朝ごはんはいつだって戦いだった。
私はこどもの頃、小学校1年生の6月から中学を卒業するまで、約9年間学校へ行けず、重度の不登校児だった。そんな私にとって朝は大っ嫌いで苦手そのものであった。朝ごはんも食べる事ができない。なぜなら、
"朝食をとったら学校へ行かなくてはいけない”
こどもながらに“働かざる者食うべからず”を悟って、朝時間という物全てが戦争のように感じた。いつしか家族と精神科医の先生との対話で、
「学校へ行けなくても、社会で生きていけるように朝・昼・夜 の時間を大切にしてゆこう」
となり、以降は少しずつ、体内時計と暮らしを守るようになってきた経験がある。
わたしが朝ごはんダンスというパフォーマンスで伝えてゆきたいのは
【この世界では、誰もが居場所を持って生きていける可能性があるという証明】
と
【明日の朝に対して、自分の身体と心を大事に目覚めさせてゆく方法について】
である。
ここなら わたし でいられるという周囲の人間たちや自分自身に対しての期待だ。
そこに、性別も年齢も立場も国籍もなく、いつだってピュアで幼い朝が存在すると信じている。